人生を考えてみるとどんな人にも多かれ少なかれ、苦しい環境、越えがたい環境、いわば逆境というものは存在する。
あなたが何かに挑戦するチャレンジャーであればあるほど、それはいつもつきまとう。
しかし、その厳しい現実を受け入れつつも、決して未来を見失わず希望の灯を燃やし続けることは難しいことかもしれない。
このような逆境の中において、いかにしてそれを乗り越えていくのか。
この問題を解決する糸口として、「ストックデールの逆説」というエピソードがある。
ぜひ把握をして、あなたの苦い現実を何とか乗り越えていってほしい。
〇この記事はこんなあなたにオススメ
・今、逆境で厳しい現実に身を置く人
・逆境の乗り越え方を知りたい人
・望む未来を手に入れたい人
〇ストックデールの逆説
あなたが挑戦すれば順境だけでなく、必ずと言っていいほど逆境は訪れる。
そして、あなたが望む望まないにかかわらず、厳しい現実に直面する機会はある。
僕たちはコントロールできない自然の摂理、例えば自然災害やパンデミックなどの前では何もすることが出来ないように思われる。
しかし、こんな状況下だからこそ考えられることがあるかもしれない。
そんな観点から出発して逆境の乗り越え方を考えていこう。
ベトナム戦争捕虜の極悪な現実
ジェームズ・ボンド・ストックデールはアメリカの軍人であり、ベトナム戦争に従軍し、北ベトナム軍捕虜として8年間も拘束された人物だ。
彼は厳しい拷問の中でも不屈の精神で生き延び、生還を果たした。
多くの同僚が死にゆく中、彼は生き延びた。
著者であるジム・コリンズは彼へのインタビューを掲載している。
「わたしは結末について確信を失うことはなかった。
ここから出られるだけでなく、最後にはかならず勝利を収めて、この経験を人生の決定的な出来事にし、あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにすると。」
(ビジョナリーカンパニー2-飛躍の法則―)
このように語っている。
鋼のメンタルだ。
楽観主義は弊害になり得る
生き延びるものと、死にゆくもの、この違いは何だろうか。
この疑問にもストックデールは的確に答えている。
「楽観主義だ。そう、クリスマスまでには出られると考える人たちだ。クリスマスが近づき、終わる。そうすると、復活祭までには出られると考える。そして復活祭が近づき、終わる。つぎは感謝祭、そして次はまたクリスマス。失望が重なって死んでいく。」
(ビジョナリーカンパニー2-飛躍の法則-)
これは衝撃だ。
「え、楽観主義がダメなの!?」
と思われた方も多いのではないか。
僕も、楽観主義は人生を前向きに生きるための必須アイテムだと思っていた節がある。
しかし、厳しい現実化において楽観主義は人をダメにすることもあり得るということだ。
それどころか人を死に追いやっている。
「まあ、何とかなるだろう。」という楽観主義は良い面もあれば、捉え方によっては思考停止の状態であると言わざるを得ない。
「何とかなる」と踏んで「何とかならなかった」場合、そしてそれが何度も何度も続く場合、楽観主義はもろくも崩れ去ってしまう。
たちまち、人は希望を失い、目の前の絶望を前に精神が蝕まれていく。
こんなことは戦争という非日常だけでなく、日常における逆境時でもいくらでもあり得る。
現実直視と、未来への希望
それでは、どうしたら未来への希望を失わず現実を超えていけるのだろうか。
ストックデールはこのようにも伝えている。
「これはきわめて重要な教訓だ。最後には必ず勝つという確信、これを失ってはいけない。
だが、この確信と、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実の中で最も厳しい。
事実を直視する規律とを混同してはいけない。」
(ビジョナリーカンパニー2-飛躍の法則-)
ストックデール氏、非常に厳しいことを仰る。。
しかし、これが厳しい拷問を8年間耐え抜いて、生き延びた人間の放つ強い言葉だ。
最後には必ず勝つという確信、これを失ってはいけない。
さらにそれと、今の最も厳しい事実、これを心の中でごちゃまぜにしてはいけない。
事実を直視し、未来への確信を失わない態度、心構え。
これが人を厳しい環境下でも腐らせないポイントだということだ。
まさに、ストックデールの逆説。
あなたの状況への置換
このストックデールの逆説は、あなたの状況にも置き換えることはできる。
何かに挑戦して、厳しい現実に晒されている。
そうでなくても、厳しい自然災害やパンデミックで金銭的に困窮している。
心が疲弊して今にも折れて無くなりそうだ。
同じ環境下でも捉え方次第でいくらでも目の前の状況の見え方は変化を遂げる。
まとめ 信じることは自由だ
ストックデール氏は不屈のメンタルの持ち主だと思う。
だからこそ、この逆説的な精神力を持ち得たのではないか、と捉える方も多いと思う。
「僕には無理だよ。」
「私にはとてもそんな考え方できません。」
と感じてしまったかもしれない。
しかし、もう少し頭を働かせて考えてほしい。
「考え方」は脳内で起こっている。
逆に言えば、脳内で起こる変化は僕らのコントロール下にある。
つまり、心構えをどのように保つかは僕らの全く自由な世界だということだ。
厳しい現実直視と、未来への希望、確信。
これを信じ、行動を起こすことを通して逆境を乗り越えていく。
この思考様式と行動様式をあなたも出来ると信じてみよう。
信じることは自由だ。
ごーせん